インターネットやITデジタル技術が急速に発達している近年、ビッグデータやAIなどを活用したプラットフォームビジネスが注目を集め、GAFAをはじめ、様々な企業が参入しています。この記事では、プラットフォームビジネスの意義や概要から、具体的な仕組み(モデルや収益構造)、市場に参入することで得られるメリットについて解説します。体系的に理解できれば、自社に合ったビジネスモデルの検討につなげられるため、ぜひ参考にしてみてください。
プラットフォームビジネスとは
近年、プラットフォームビジネスと呼ばれるビジネスモデルのサービスが続々と誕生し、生活に深く浸透しています。
そもそもプラットフォームビジネスとは、企業が直接顧客へ商品やサービスを提供したり、コミュニケーションをとったりするわけではありません。商品やサービスを販売したい個人やサプライヤーなどに、取引やコミュニケーションの基盤となるプラットフォームを提供するビジネスモデルなのです。GoogleやApple、Meta、AmazonといったGAFAも、いわば巨大なプラットフォーマーと呼べるでしょう。ここ数年で様々な企業が参入しており、ECのようにBtoC向けの他、企業をターゲットにしたBtoCのプラットフォームビジネスなど、経営判断に大きな影響を与えるものも存在しています。
プラットフォームビジネスの種類
代表的なプラットフォームビジネスには、「OS型プラットフォーム」や「仲介型プラットフォーム」、「コンテンツ型プラットフォーム」といった種類があります。では、それぞれにはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。
サービスのOSとして機能するOS型プラットフォーム
OS型プラットフォームとは、各種サービスのOSとして、供給者である他社が提供するアプリケーションやサービスの基盤です。このOSはあくまでプラットフォームとして存在し、基本的に他のOS上(macOS、AndroidOSなど)において、そのままでは動かせません。Windowsはもちろん、Appleが提供する「Apple store」やAmazonが展開する「AWS(Amazon Web Services)」なども例として挙げられるでしょう。
需要と供給をつなぐ仲介型プラットフォーム
仲介型プラットフォームとは、主にBtoCで見られ、商品やサービス、特有のスキルなどを提供したい人と、その提供を希望している人とをマッチングさせるための基盤です。例えば、楽天は自身の商品やサービスを持ちませんが、他社に販売の場所を提供しています。メルカリやヤフオクといったフリマサイトをはじめ、Uberもこれに当たるでしょう。昨今はスキルの取引場所として、ココナラやクラウドワークスもよく耳にするようになりました。これらのプラットフォーマーには取引が成立する度に収益が発生します。自身が開発や営業をせずとも、仲介手数料によってビジネスが成り立っているのです。
コンテンツを蓄積して価値を高めるコンテンツ型プラットフォーム
コンテンツ型プラットフォームとは、主にコンテンツや情報を対象に蓄積することで、元の発信者に成り代わり、商品やサービスの紹介やプロモーションを行う基盤です。動画配信サービスでは、YouTuberという肩書きを持つ人も続々と誕生している「YouTube」や「Netflix」、GAFAの一員で代表的なSNSである「Facebook」などもコンテンツ型プラットフォーマーに該当するでしょう。これらは、誰も参加しなければ価値はありませんが、ユーザーが増えるのにしたがって需要と供給が一気に高まり、プラットフォームとしての価値が向上します。
プラットフォームビジネスの収益設計
プラットフォームも、それを提供するプラットフォーマーに利益が出なければビジネスとして成立しません。では、収益構造はどのようになっているのでしょうか。代表的な「手数料課金モデル」、「一部無料、一部有料モデル」についてご紹介します。
手数料課金モデル
最もシンプルな「手数料課金モデル」は、フリマサイトなどでよく用いられ、送料を含めた売上のうち、固定額、あるいは何パーセントかを個人やサプライヤーから販売手数料として徴収する仕組みです。他に仲介型プラットフォームでも、マッチングが成立し商品やサービスの取引が完了した段階で手数料が差し引かれ、販売者に支払われるのが一般的です。ただ、プラットフォームの価値と手数料とのバランスをしっかり吟味しなければ、ユーザーの獲得や維持が難しい面もあります。
一部無料、一部有料モデル
「一部無料、一部有料モデル」はその名の通り、最初は基本的な機能やサービスを無料として提供し、より便利な機能を追加し本格的に利用したいという希望をユーザーがもった段階で、それらの機能を有料で提供するビジネスモデルです。各種アプリケーションや、クラウド環境で提供されるSaaS(Software as a Service)といったソフトウェアでよく見られる仕組みでしょう。ユーザーは最初の入り口が無料であるためトライアルしやすく、企業にとっても一定の流入数を見込めるのがメリットと考えられます。
プラットフォームビジネスのメリット
プラットフォームビジネスがこれだけ広まってきているのは、様々なメリットがあるからに他なりません。その中で、「ビッグデータの獲得」、「効率的な顧客の獲得」、「初期費用の軽減」という観点からそれぞれ詳しく解説します。
ビッグデータが得られる
インターネット環境やデジタル技術が進歩し、スマートフォンやデバイスが生活の一部となっている今、それらから得られるビッグデータの価値はますます高まっています。そもそもプラットフォームビジネスは、そのもの自体にはほぼ価値はなく、より多くの人に購入や利用をしてもらえることで大きなイノベーションを起こせるものです。また、多くの人が利用すればするほど、多くのデータを入手できます。
データは企業活動のあらゆる場面で活用が可能で、その量や種類が多ければ、より信頼性のある分析やマーケティングを実現できるでしょう。また、入手したビッグデータを分析することで、既存事業の改善のみならず、まったく新しいビジネスの創出にも活かせるメリットがあるのです。
効率的に顧客を増やせる
プラットフォームビジネスでは、プラットフォーム上で様々なサプライヤーや個人が、様々な商品、サービスなどを提供します。ECであれば、顧客は欲しいものを一カ所で見られるため、利便性を感じられるでしょう。また、サービスの品質が良ければ、リピーターになってくれる可能性も高まります。昨今はSNSの普及により、実際に購入や利用をした顧客の「生の声」をいつでもチェックできるようになりました。つまり、一度商品を購入したり、サービスを利用して満足した顧客がSNSを通じて別の顧客を呼んでくれたりして、良いスパイラルが生み出されるのです。高額な広告を打たずとも、効率的に顧客を増やし、ファンを育てられるという点でも、プラットフォームビジネスは魅力的だと評価できるでしょう。
初期費用が比較的低い
プラットフォームビジネスは、顧客と直接的な関わりがないため、商品やサービスを用意する必要がありません。また、実店舗を持たないため、オフィスを構えたり、土地を購入したりすることもありません。ビジネスをスタートさせる際に必要なのは、基本的にシステムやサイトなどだけで、初期費用が抑えられるのは大きなメリットです。
また、複数サービスの展開も検討できます。ユーザー数が増え、プラットフォーム自体の価値が高まれば、より収益率の良い新たなサービスへも誘導でき、ビジネスチャンスが広がるのです。このように良いサイクルが回るようになれば、ますますメリットを感じられるでしょう。
まとめ
昨今、生活に欠かせないサービスの多くは、プラットフォームビジネスによるものが主流になりつつあります。初期コストを抑えられ、効率的に顧客を増やせるなどのメリットがあり、多くの企業が参入しているのです。ただ、ビジネスとして成功させるためには、適切なビッグデータの解析や活用、管理といった課題があります。ITツールを導入すれば、スムーズな運用が見込めます。参入の際には、ぜひ導入を検討してみてください。