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自治体のDX推進に役立つ「RPA 導入実践ガイドブック」の基本を読み解く

政府が閣議決定した「デジタル・ガバメント計画」における自治体DX推進の取り組みとして、RPAの導入を検討する自治体が増えています。「RPA導入実践ガイドブック」を手引書としてRPAの導入を進めていくことになりますが、その前提知識として、そもそもRPAとは何か、RPAの特徴や導入のメリットについてご紹介します。

自治体のDX推進に役立つ「RPA 導入実践ガイドブック」の基本を読み解く

「RPA 導入実践ガイドブック」とは

RPA(Robotics Process Automation)は、コンピュータ上で行う作業を自動化することができる技術のことをいいます。2020年12月に「デジタル・ガバメント計画」が閣議決定されたことを受け、翌2021年3月に内閣官房IT総合戦略室より「RPA導入実践ガイドブック」が公開されました。「RPA 導入実践ガイドブック」には、RPAの基本的な仕組みやメリット、行政のサービスや業務にRPAを導入する方法、導入の際に考慮すべき指針、RPAの活用方法などがまとめられています。政府はRPAを導入し活用することで、行政のデジタル化を実現し、業務効率化と業務の自動化を目指しています。

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「RPA 導入実践ガイドブック」の押さえておきたいポイント

「RPA 導入実践ガイドブック」とはいったいどのようなものなのでしょうか。ガイドブックに記載されている内容を理解するために、最低限押さえておきたいポイントを解説します。

RPAの基礎知識

RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、ロボットを活用して定型作業を自動化することをいいます。RPAをうまく活用することで生産性を大きく向上させることが期待できます。RPAにより外注していた作業を内製化すれば、コストの削減と業務の効率化を実現させることも可能です。

RPAは企業だけでなく、政府や自治体からも注目を集めています。「デジタル・ガバメント実行計画」の一つである自治体の情報システムの標準化・共通化を実現するため、総務省は「自治体DX推進計画」を策定し、全自治体で業務のデジタル化を推進しています。

RPAの特徴

RPAの主な特徴は、これまで人間がコンピュータ端末で作業していたことをより速く正確に実行することができる点です。

RPAは大量のデータを高速処理するような作業が得意です。従来の技術でも高速処理は可能でしたが、RPAは複雑な計算処理の際にも安定して高速な処理を行うことができます。この点が従来の技術との違いです。

RPAはユーザインタフェースを伴わないAPIでの処理を自動化することも可能です。ただし、API経由の処理に対応していない製品があるため、従来の他の技術で対処しなければならない可能性があります。

RPAは基幹システムに関する業務への適性もあります。基幹システム上の操作や、基幹システムと関連したシステムとの連携操作を自動化することができます。RPAを用いることで、各システム間の出入力などのAPI・インターフェース開発や機能追加をする必要がなくなります。ただし、大規模システムの内部処理変更など、複雑な処理を行う必要がある業務については、従来通りの改修を行った方がよいでしょう。

RPAは政府や自治体においては政策目的実現や現状の業務の課題解決に当たっての有力な選択肢となっています。住民情報系の業務から内部事務系の業務まで、幅広くRPAの利用も進みつつあります。RPA はうまく活用することで次に挙げるようなメリットが期待できます。

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RPAを導入するメリット

RPAを導入することで、会社や組織に様々なメリットがもたらされます。具体的なメリットについて以下に記載します。

自動化による業務効率化

RPAを導入するメリットの一つは、業務を自動化することによって業務の効率化を実現できることです。RPAを導入することで、職員が手作業で行っていた業務を自動化して業務スピードを格段に上げることができます。速いだけでなく正確な処理をするので、作業内容のダブルチェックをする必要もありません。RPAの導入によって、作業工数・時間を削減し、業務効率化を実現することができます。

また、RPAはあらかじめ定められたルール通りに処理を実行するため、人為的ミスを防止できるというメリットがあります。職員の手作業で起こりやすい、集中力低下や操作間違いによるミスを回避することで、業務の質を向上させることが可能です。

人手不足の解消

RPAを導入するもう一つのメリットは、人手不足を解消できることです。人が手作業で行ってきたルーティンワークをRPAが代わりに処理するため、従業員の人数を最小限に抑えることができます。その結果、人件費を削減することができます。また、ロボットは24時間365日稼働できるため、残業時間の削減にもつながります。

対応力・拡張性の向上

RPAには技術革新によるAPIやAIといった新しい機能が段階的に追加されていくような製品もあるため、業務への対応力と拡張性に富んでいるということも、RPA導入のメリットの一つです。RPAは導入後にも工程を柔軟に変更させられるので、一部を修正するだけで現場に対応できるというメリットがあります。この点が他のITシステムにはない長所です。

RPAを導入し、組織内に浸透すれば、これまで行っていた業務を見直して「RPAに任せられる仕事」を洗い出すことになります。そうすることで、属人化していた業務の整理や、業務内容の可視化といった効果が期待できます。

デジタル人財の育成、内製化、RPA導入の注意点とは

RPA導入により、上記で述べたような効果を期待できる一方、注意すべきポイントがあります。それは、現在行っている業務に非効率な作業プロセスがある場合、それを改善しないままRPAに引き継ぐことで、その非効率なプロセスがブラックボックス化してしまうことです。また、担当する社員の業務範囲だけの効率化で終わってしまい、会社の業務全体の効率化が行われない可能性があることです。さらに、間違った前提条件を引き継ぐことで業務が改善しないという問題が起こることが考えられます。

このような事態に陥らないようにするため、組織内にRPAについて詳しい人材が必要です。RPAを用いて業務を内製化しようとする際には、同時にデジタル人材の育成も進めましょう。RPA人材を育成するには、RPAツールのベンダーが実施する研修に参加させたり、知識の習得に役立つ資料や書籍を提供したりするなどの方法があります。RPA人材を育成することが難しい場合には、必要に応じてRPAに詳しい人材の採用を検討しましょう。RPAの専門家に外部委託する方法もあります。

政府が推進する自治体向けクラウド基盤「Gov-Cloud」

政府は2020年12月に「デジタル・ガバメント実行計画」を閣議決定し、行政機関内の業務をはじめ、社会全体のデジタル化を目指しています。Gov-Cloud(ガバメントクラウド)とは、自治体に共通的な基盤・機能を政府が提供するための、複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境のことをいいます。政府は早ければ2022年のGov-Cloud運用開始に向けて準備を進めており、各自治体は2025年までに国が定めたシステムへの移行が義務付けられています。

地方自治体がGov-Cloudを活用することで、住民は区役所などの窓口に行かなくてもパソコンやスマホから住民票や納税証明書の交付請求などの手続きをすることができるようになります。すでに大阪市では200以上の手続きをオンライン化しており、2025年までにさらに対象の手続きを約1500まで広げる計画です。地方自治体にとっては窓口対応業務にあたる職員にかかる人件費などのコスト削減が期待できます。また、最新のセキュリティシステムを導入することで、セキュリティを強化できるメリットがあります。

まとめ

デジタル技術により、生活やビジネスに変革がもたらされています。政府のDX推進の動きに連動して、各自治体でのGov-Cloud運用開始、RPAの導入が必要になると考えられます。RPAの導入により、行政の業務の効率化、人手不足の解消など、多くのメリットがもたらされます。RPA導入にあたっての注意点をもとにRPAを活用し、業務の正しい効率化を目指しましょう。

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