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公共部門向け生成系AIユースケース集
生産性向上

業務棚卸から始まる業務改善と生産性の向上とは

「業務改善のために、まずは可視化から始めよう」という声をよく聞きます。しかし、具体的にどう可視化したらいいのか、という方法については、聞いたことがないという方も多いでしょう。

今回は、そんな業務可視化の一つでもある、「業務棚卸」について紹介していきます。

業務棚卸とは?

本来「棚卸(たなおろし)」とは、棚にある商品をおろし、その数量と合計金額を算出するという意味があります。それが転じて、業務棚卸には「業務の種類とその内容、さらに作業時間を可視化する」ということを指しています。

よく、業務改善の現場では「業務フローの可視化」から取り組んでいるケースがありま。しかし、業務フローとはあくまで業務流れを表すものなので、まずは業務棚卸によって業務の種類や内容などを明確にすることが大切です。

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業務棚卸の方法

最もシンプルな方法は、「業務体系表」を作ることです。これは、一般社団法人日本能率協会(JMA)が提唱している方法で、簡易的な体系表によって業務の棚卸を行っていきます。そのサンプルが、次のようなものです。

≪業務体系表サンプル≫

業務体系表サンプル

参考:株式会社日本能率協会コンサルティング「改善マニュアルNo.3 計画的な業務割当による人時生産性向上 

記入欄について説明すると、まず「大分類」には業務の大きなかたまりを書き出します。例えば「清掃」であったり、「会計処理」であったり、職種によって様々です。次に「中分類」については、さらに具体的な業務内容を記入します。

「業務タイプ」は固定業務か変動業務かを記入する欄です。業務には、売上に関わらず発生する固定業務と、売上に応じて変化する変動業務の2つがあります。これらの2つの業務は、改善方法が違ってくるので、予め明確にしておくことが大切です。

最後に「備考」には、他の記入欄には記載しない特別な情報を記入します。

これらのルールに従って業務体系表を埋めていくと、以下のような状態になります。

≪業務体系表の記入例≫

業務体系表の記入例

このように、業務体系表を使うと簡単に業務の棚卸を行うことができます。もちろん、こうした作業を地道に行っていくので、すべての業務を整理するにはかなりの時間がかかります。

ちなみに日本能率協会では、「小売業・専任担当者1名・モデル店舗1店舗」とした場合、業務棚卸に必要な日数は「3日間」としています。

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棚卸の次は、業務の「最良なやり方」を設定する

棚卸によって整理した業務は、しっかりと改善に繋げていかなければ意味はありません。その第一歩となるのが、業務の「最良なやり方」を設定することです。「最も効率的な手順」とも言い換えられます。

ポイントは、洗い出した業務一つ一つの現状手順をまず明確にすることです。そこから「無駄」を発見して、「最良なやり方」を設定していきます。

対象となるのが「中分類」の業務で、各業務の作業手順を書き出していきます。ただし、会議や決まった手順のない業務、それと発生頻度や時間の少ない業務に関しては、対象外としてよいことにします。

一つ一つの業務の作業手順を整理したら、次に業務量や業務時間の多い上位2割程度を選出して、それらを改善対象とします。

理想は全体業務の改善ではあるものの、すべての業務を対象としてしまっては改善効率が悪くなってしまうため、優先順位を決めて取り組むことが大切です。

作業手順を書き出す際は、次のようなシートを使用しましょう

≪作業手順シート≫

作業手順シート

作業手順の書き出しで大切なことは、「細かく記入する」ことです。一つ一つの細かい作業はもちろん、作業ごとに使用するツールも重要になります。さらに作業ごとの問題点と改善策を書き出し、一つの業務をより効率良く行えるよう検討します。

≪作業手順シート記入例≫

作業手順シート記入例

※⑨以降の作業手順は省略

業務時間を測定する

業務ごとの作業手順を明確できたら、いきなり改善に取り組むのではなく、まず「業務時間」を測定するところから始めましょう。業務改善にいきなり取り組んでしまうと、「何がどう改善されたのか?」という評価指標がないため、改善効果を得づらいという難点があります。

このため、業務時間を一つの指標にするために、改善に取り組む前に業務時間を測定するのです。

測定方法は色々とあり、最もシンプルなのが「実測法」です。実測法は、観測者が実際に一連の業務の時間を測定する方法で、いくつかのサンプルを集めて平均値を出します。改善後にその平均値を下回ったかどうかを、評価指標とするのです。

ちなみに測定結果は、以下のように「タイムスタディ」にまとめましょう。

≪タイムスタディ記入例≫

タイムスタディ

こうして、タイムスタディで作業手順一つ一つの観測時間を記録していくことで、業務全体にかかる時間を計測します。

この手順でのポイントは、業務の熟練者を対象として観測することです。業務初心者を対象としてしまうと、通常より大幅に業務時間に遅延が生じることがあります。このため、観測対象者は必ず熟練者にすることが大切です。

注意点としては、観測者がいることで「不自然な努力」が発生してしまう可能性です。業務改善担当者に観測されている状態だと、いつも以上の力を発揮しようというケースが少なくないので、日常とは異なる結果が出ることもあります。

ですので、観測者はそうした「不自然な努力」も考慮して、観測結果を補正を行うことが大切です。

まとめ

業務時間の観測が完了すれば、改善策を実施したり、基準となる業務スケジュールを作成して、どんどん業務改善に取り組んでいきましょう。最後に大切なことは、「PDCAサイクルを繰り返すこと」です。

業務改善というのは、一回の施策で完了しません。施策実施後もその効果を測定して、さらなる改善に繋げる必要があります。そのため、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」という1つのサイクルを意識して、継続的な業務改善に取り組んでいきましょう。

 

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