業務調査で正しい情報を収集するには、大変な労力を必要とします。まず調査対象となる従業員の業務調査にする理解を得て、「普段通りの姿勢」を業務に取り組んでもらわなければなりません。
調査票を記入する従業員にとっても大きな負担です。通常業務に加えて、上長からの指令で業務を監視されることになるので、精神的ストレスもかかります。
そこで今回は、そうした業務量調査を少しでも効率化してもらうために、調査に役立つエクセルテンプレートを紹介していきます。
業務量調査に役立つエクセルテンプレート
一般社団法人日本能率協会(JMA)推奨の「業務体系表」
日本能率協会は「マネジメントの革新」と「人材の育成」「経営力強化」を支援する団体です。同協会が推奨している業務量調査のエクセルテンプレートが「業務体系表」です。
≪業務体系表≫
業務体系表は、部門ごとの業務を「大分類」「中分類」「小分類」と区分していき、業務内容を体系立ててまとめるためのエクセルテンプレートです。一つの業務を「一つの構造」として捉えることができるので、業務ごとの作業手順なども明確になります。
≪業務体系表の記入例≫
ボトムアップで調査する「業務棚卸表」
業務棚卸表は、各従業員に自身が行っている業務内容を整理・記入してもらうエクセルテンプレートです。業務体系表がトップダウンの調査票だとすると、業務棚卸表はボトムアップの調査票だと言えます。
現場から意見を吸い上げて業務量を調査できるので、業務体系表と合わせると業務の記入漏れなどをチェックできます。
≪業務棚卸表の記入例≫
詳細業務 |
業務概要 |
---|---|
受付 |
受付を処理する |
申込書類の点検 |
申込書類を確認し、不備が無いようにする |
申込内容の入力 |
申込書類を確認しつつ内容をシステムに入力する |
申込内容の確認 |
入力した内容に不備がないかを確認する |
申込登録 |
内容に不備がなければ申し込みを確定する |
申込完了の連絡 |
申込完了後、1時間以内に顧客へ連絡する |
ファイリング |
申込書類をファイリングして、指定の棚に保管する |
データの取り込み |
システムデータを取り込む |
請求データ修正 |
請求データに不備がないかを確認し、修正する |
請求伝票入力 |
データを請求伝票に入力し、発行する |
請求伝票送付 |
請求伝票を送付先に送る |
未入金データ処理 |
未入金データを処理する |
未入金データ問合わせ |
未入金データがないかを確認する |
請求書の確認 |
未入金データがあった場合、請求書を確認する |
請求内容の申請 |
請求内容を担当部長に申請する |
請求内容の承認 |
請求内容の承認を得る |
入金処理 |
請求内容に従って入金処理をする |
返金処理 |
必要に応じて返金処理行う |
上記は先ほど紹介した、「業務体系表の記入例」を参考にしたものです。このように、一つ一つの業務内容を従業員に記入してもらうことで、業務体系表と照らし合わせて業務の記入漏れを確認できます。
書式ダウンロードサイトの業務量調査エクセルテンプレート
ビズオーシャンが提供する無料会員制サービスの「bizocean書式テンプレ」では、いくつか業務量調査に役立つエクセルテンプレートが紹介します。
「業務調査日報」は、従業員ごとに1日の業務量を調査できるエクセルテンプレートです。業務量調査の際は、どんな業務があるかを整理(業務棚卸)するだけでなく、従業員ごとの業務量を把握して、1日の業務回数や負担を明確にすることも大切です。その上で業務量平均化などの改善を行います。
「業務調査票」は日次、週次、月次の業務量を調査するシンプルなエクセルテンプレートです。組織規模がまだ小さかったり、業務量が少ない企業におすすめです。
業務量調査のエクセルテンプレートは、可能なら自作しよう
いかがでしょうか?ここでは4つの業務量調査エクセルテンプレートを紹介しました。これらのエクセルテンプレートを利用すれば、組織全体の業務量を調査することもできます。ただし、可能であれば、業務量調査のためのエクセルテンプレートは自作することをおすすめします。
なぜかというと、業務というのはその流れや作業手順・方法など企業によって三社三様であり、一つとしてまったく同じ業務プロセスを持つ企業はないからです。例えば同じ食品加工業で同じ食品を製造していたとしても、各業務の細部はまったく違ったものになるでしょう。
そのため、汎用的なエクセルテンプレートを使用するよりも、自社独自のエクセルテンプレートを作成して方が、業務量調査を効率的に行えるようになります。
そこで、業務量調査のエクセルテンプレートを作成する上でのポイントを紹介しておきます。
- ポイント1.
業務を体系立てて整理できるよう、最低でも3分割して業務内容の粒度を細かくしていく - ポイント2.
各業務が顧客提供価値に直結するのか、あるいは経営管理目的で実施される業務なのかを明確にする - ポイント3.
「備考欄」を必ず作成し、不規則な業務内容や注意事項は細かく記載する - ポイント4.
単一のエクセルテンプレートではなく、最低でも2種以上のエクセルテンプレートで業務の記入漏れをチェックする(業務体系表と業務棚卸表のように) - ポイント5.
必要に応じて、部門ごとに特化してエクセルテンプレートを作成する(部門ごとに業務はまったく違うため) - ポイント6.
最終的には、業務フロー図として業務プロセス全体の流れを把握できるよう、最初から業務の流れ通りに記入できるようにする - ポイント7.
業務担当者ごとに、1日の業務量、1週間の業務量、1ヵ月の業務量を細かく記載できるようにする - ポイント8.
部門の業務ごとに、1日の発生量、1週間の発生量、1ヵ月の発生量を細かく記載できるようにする
以上のポイントを押さえて、独自の業務量調査エクセルテンプレートを作成してみてください。
まとめ
業務量調査は一度行えば完了するものではなく、定期的に行って効果を発揮するもです。そのために所定のテンプレートがあると作業効率を大幅に向上できます。すでに公開されているエクセルテンプレートをダウンロードするも良し。自作して、独自のエクセルテンプレートを活用するも良し。現状の環境と将来的な事業拡大を見越して、自社にとって最適な業務量調査エクセルテンプレート活用方法を選択してください。
また、適切かつ客観的な調査や分析を行うためには、専門家によるサービスを利用することもお勧めします。社内体制がきちんと整備されている場合は問題ないのですが、日々の業務を掛け持ちしながら作業を行うことは負担が大きく、また客観的な立場で調査を進めなければ、結果の信憑性も低くなりがちです。
業務量調査の必要性を感じている方は、まずは業務コンサルや専門の調査会社にご相談されてはいかがでしょうか。