業務の「可視化」、「見える化」を実現させるためには、言うまでもなく業務の内容を把握する必要があります。そのため、まず実際の担当者に対して、担当している業務の内容をヒアリングすることが一般的ですが、そもそもこのヒアリング、どのように進めるのがよいのでしょうか。
自分の業務を漏れなく、正確に伝えるのは困難
業務改善、働き方改革、システム構築、RPA導入など、今話題のキーワードを含めて、基本的には担当者による業務ヒアリングで、現状の業務のやり方や業務上の問題点を聞き出し、各プロジェクトをスタートさせるのが一般的です。
「わからないから聞く」という当たり前のことですよね。
しかし、「人は自分の業務を漏れなく、細かく、正確に伝えるのはそもそも困難」というものです。
もし誰もが、漏れなく、細かく、正確に業務の内容を伝えることができるのであれば、業務の引継ぎなどは1日もあれば終わってします。
かなり前の話になりますが、筆者自身もヒアリングからプロジェクトをスタートしたことがありました。
しかし、1~2時間程度のヒアリングで全ての業務を聞き出すことなど不可能に近いですし、何人かが全く同じ話をしてることもわかりヒアリング時間の無駄を感じました。
内容を確実にするために、同じ人に何度がヒアリングの時間をいただき、やっとそれなりの形になりました。
しかし、一人にかける時間と人数を考えると、ひとつの部署のヒアリングだけでも、かなりの時間を費やしました。
それこそ、日中はずっとヒアリングで、夕方帰ってからそれをまとめて、また次の日はヒアリングでと、そんな日々が続きました。
また、「何か業務上の問題はありませんか?」と質問すると、「特に何もありません」と答える人が意外と多く、「総務の人がうるさくて仕事に集中できない」という愚痴めいたものまで。
意外と問題意識を持ちながら仕事をしている人も決して多くはなく、こちらでそれを見つける能力がなければ潜在している問題事象は抽出されないままでプロジェクトは進んで行きます。
そもそもヒアリングは、あまりイメージのいいものでもありません。根掘り葉掘り聞かれて、結果的に仕事を取られてしまうのではないかとか。それこそ犯人の取り調べみたいで雰囲気が悪いまま進むこともあります。
最小限の負荷で進められるヒアリング手順
そこで、以下の手順で進めるのが効率的であり、かつ担当者の負担を軽減できるものではと思います。
- リーダーに全体像を聞く
- それを元に、調査票を作成して担当者に配る
- 調査票を精査する(人によるバラつきを集約する)
- 調査結果から問題の仮説を立て、ヒアリング用のガイドを作る
- ガイドを元に、必要最小限の確認を行う
そうすることで、ヒアリングをする側もされる側も最小限の負荷で進められるようになります。